『2M』完成
スマートフォンだけで撮影したショートムービー、『2M』が完成しました。
バイオハザードが発生した街で、逃亡した女を探し出した男。
だが二人は常に2メートル離れていなければならない……
この映画の制作は、
ローアングル、ワンシーンワンカット、シネスコ画面で撮るという漠然としたコンセプトから始めました。
正月に新作鑑賞のために行ったイオンシネマで、座席からスクリーンを眺めていたら、
画面の両端に立つ女と男、二人の間には一定の距離があり、縮まらないという絵が閃きました。
映画館様様です。
ネットで男女2名のキャストを募集。
近未来SFの世界で、生きた人間を体現できる方々に出会えました。
いつもは細かくカットを割るのを好む私が、長回しに初挑戦。
約12分のワンシーンワンカットは二人の俳優の力に支えられて成功しました。
緊急事態宣言下の都内で撮影しましたが、総勢三人で、気を配りながら、無事に終えました。
スマートフォン撮影ならではの画面も考え得る限り盛り込んで、
先月末のコンテスト締め切り直前に完成させました。
映画の父、D.W.グリフィス監督が述べたという言葉を思い出しながら、創り上げました。
映画とは 女と銃だ
#リモート映画祭『3分まで待てない!』
松竹さん主催、
参加中です。
重装備でアパートの一室に突入する警官のPOV(主観映像)。
部屋はもぬけの殻だ。
だが、ポツンと置いてあるカップラーメン。
フタの上に3分にセットされたタイマー。
「ラーメンを喰おうとしていたらしい。まだそんなに遠くには逃げていないだろう……」
警官の手がタイマーを持ち上げると、なぜかカウントダウンが始まった!!
『3分まで待てない!』 本編公開中 <5分15秒>
↓ この時に出演してもらうはずだった古米翔大さん、岡部莉子さんにリモート出演を依頼。
二人の俳優にはPOVショットに合わせて自撮りをしてもらい、その映像を小画面として合成して本編を完成させました。
カウントダウンのサスペンスなので、
制作記も応募締め切り(7/ 31)からさかのぼって書いてみましょう。
7日前 脚本完成
6日前 メインの小道具、カップラーメン・バクダン完成
5日前 二人の俳優に出演依頼、承諾を得る
4日前 メールでリモート打ち合わせ開始
3日前 リモート打ち合わせ ビデオレターを送ったりする
2日前 自宅にてPOV映像収録 俳優に送付 電話で詳しく話す 古米さんより映像到着
1日前 岡部さんより映像到着 編集作業本格化
〆切当日 編集完了 本編をアップロードしてエントリー
初めてのリモート撮影、俳優とハナシがうまく噛み合わなかったり、想定外のことが起こったりしたのですが、その度に「リモートだろうがやっぱり実写映画の撮影だ。どんと来いトラブル!」と、前向きに対応してナントカ切り抜けました(笑)。
俳優に出演を依頼する前に、ラーメン💣の小道具を完成させています。
これはつまり悪役を先に決めたということです。
火のない所に消防士は来ない。火事場の真の主役は火だ。
80年代アクションの大傑作、『コマンドー』、『ダイ・ハード』の脚本を手がけたスティーヴン・E・デ・スーザ氏の言葉です。
ヒーローが登場するために必要な悪役と悪事。
私は今作の悪役が働いた悪事、カップラーメン型バクダンにそれなり以上の説得力を持たせて具現化できたところで(6日前)、この映画の制作にGOを出しました。
ショートホラーフィルムチャレンジ『空巣狙い』
すべて一人で制作したホラー短篇を
こちらに応募。一次審査通過でGEMSTONEさんのチャンネルにて公開されております。
空巣狙い
3分31秒
モンスターホラーです。
※昆虫などが苦手な方は観ないでください!
『空き巣狙い』「ショートホラーフィルムチャレンジ」【GEMSTONE】 第五回 一次審査通過作品
当初はまったく別のシナリオ、ヴァンパイアもので、二人のキャストを公募し、クランクインの日取りまで決めたのに、関東が梅雨入りし、ロケ地などの都合で制作中止としました。
その後、シナリオとロケ地の変更で対応しようとしましたが、つまらなくなったのでボツ。
別のシナリオ、サイコホラー系も書いてみましたが気分が乗らなくてボツ。
締め切り三日前にこの『空巣狙い』のストーリーをひねりだし、
1日目 脚本執筆 クリーチャー制作
2日目 撮影
3日目 編集
トータル24時間くらい、制作費1000円強で完成させました。
クランクイン目前で映画制作を中止としたのは初めてのことで、精神的なダメージがかなり大きかったのですが、なんでも中止になってしまう昨今の雰囲気に抗いたいという気持ちで別のプランに取り組みました。
主演もしているという、すべて一人で創った初めての映画であり、
観るのは好きだったが撮るのは初めてとなったホラー映画です。
よろしくお願いします。
復帰
昨日、
営業再開した近所のイオンシネマさんに行ってきました。
四月にTOHOシネマズ新宿さんで超がつく名作『ローマの休日』1953 を観て以来、
約二ヶ月ぶりの映画館への復帰です。
選んだ映画は先日九十歳になられたクリント・イーストウッド監督の大ヒット作、
『アメリカン・スナイパー』2014。
(2014年は『射手座』の撮影中で、イーストウッド監督もスナイパーの映画を創ったということが本当に励みになりました)
公開時から二度目の鑑賞の機会をスクリーンに与えてもらって嬉しい。
今もまだ公開延期、待機中の新作がたくさんあることを考えると喜んでばかりもいられないのですが、突然劇場でリバイバルされることになった過去の名作たちの灯が、映画館復活の狼煙をあげていると思います。
こんな風に劇場の中をカメラで撮るなんて滅多にやらないのだけれど、つい、記念に。
光を見るためには
暗闇が必要なのです。
これからもどうぞよろしく、映画館!
カメラを止めるな……
リモート大作戦!
お題「#おうち時間」
観ました。
おもしろかったです。
シナリオ上では一つの場所だが、複数の場所で違う時間に撮影したものを組み合わせて、いかにも一ヶ所で同じ時間に撮ったように見せてしまう……
自主映画あるあるですね。私もよくやります。
プロだってよくやってます。
共演する俳優たちのスケジュールがどうしても合わない時など、顔のアップをつないだりして、同じところにいるように見せるのですね。
映画『ヒート』1995 を思い出しました。
アル・パチーノとロバート・デ・ニーロが初めてガッツリと共演した作品として、公開時は映画ファンの話題沸騰。しかも刑事と犯罪者として戦うという内容なのですから、期待するなと言われても絶対無理でした。ところが、カフェのテーブルを挟んで初めて会話をするシーンが、それぞれのショットを切り返しでつないであり、二人同時に映るショットがほとんどない。多くの観客がアメリカを代表する二大実力派俳優は、実際にはほぼ絡まなかったのではないかと疑いました。やはり竜虎相搏つというわけにはいかなかったのかと。これは特に映画ファンが、撮影現場のテクニック、会話のシーンでも二人が演技をぶつけあっているとは限らないことを知っていたから生まれた疑いでした。後に誤解だと判明して胸をなでおろした方は多いでしょう。
さて、今回の映画『カメラを止めるな!』、緊急事態宣言下での番外編ですが、まさにこの映画の現場のテクニックから生まれた作品ですね。
実際に会えない、絡めないけれど、そうは見えない映像にしてしまおうというアイデア。
まあ、ロケ地が違いすぎて、誰が観ても同じ場所とは思わない映像になるのですが、画面のつなぎ方がうまいので、観ているうちにほとんど気にならなくなりました。あえて言葉にするなら、画面の背景がおかしくても、物語の流れで押し切っている感じです。
関係のない二つ以上の映像を組み合わせることで一つの意味を提示するモンタージュの理論を思い出しました。
そういえばモンタージュ理論で有名なエイゼンシュテイン監督は、俳優ではない素人を映画に起用していました。
立っているだけの男(素人)を下から見上げるようにして撮れば、自信に満ち溢れているように見える(見せれる)。上から見下ろすようにして撮れば、男の気持ちが沈んでいるように見える(見せれる)……だったかな。うろ覚えですが、そういう発見をされた映画監督でした。
今作にも素人の皆さんが大量に出演しています。
自分で自分を撮る、自撮りでですが。
自分を撮るという事、カメラの前で人に見せる動きをする事に慣れた人たちがたくさんいて、成立しています。
そしてあるテーマに沿って自撮りをうまく繋げてあるのです。
あと、
エンドクレジットを見ていたらジョン・フランケンハイマー監督の『グラン・プリ』1966 のことも思い出しました。あの怒涛のような分割画面です(笑)
上田慎一郎監督と『カメラを止めるな!』チームの皆さん、楽しい時間をありがとう。
カメラは止めない。有言実行ですね。
映画を家で観るということ
お題「#おうち時間」
仮設の映画館にて映画『精神0』を観るにあたり、
できるだけ映画館で観るときと同じ状態に近づけようと考えました。
観はじめたら、止めない。一気に最後まで観る。
早送り、巻戻し厳禁。
トイレの用は大丈夫。
宅急便、頼んでいない。
突然のピンポーンには…… 居留守対応の方向で。
そうして臨みました。
部屋の明かりも消した。
再生ボタン、クリック。
おお、
映画館の上映前のような案内が流れます。素晴らしい!
大丈夫です、スマホ、OFFにしてます。
(鑑賞開始)
ところがミスをしました。
アルコールを片手に観ていたのです。
これは映画館のマナーやルールに反するものではありませんが、
私は普段飲まないのです、映画館では。
うっかりお酒の缶を倒してしまったのです。
一時停止……!
約1分後に鑑賞を再開しました。
自宅で観るという気安さからの油断、
不覚であります。
二十代の頃、
国も時代もジャンルも問わずに
少しでも多くの映画に触れ、学びたいと思いました。
でもお金はありませんでした。
私はテレビの深夜帯で、夜9時からの洋画劇場では流れないようなマニアックだったり、マイナーだったり、アート系だったりする映画が放映されているのを知りました。
そこで放送時間が被らない限り、各局の深夜の映画をぜんぶビデオに録画しました。
多い時には一晩三作品くらいありました。
当時、新聞のテレビ欄では深夜番組の記載は一行あるかないかでした。
聞いたことのないタイトルでも映画とわかれば録画しました。
どこの国でいつ撮られ、誰が主演で誰が監督か知らず、あらすじもわからないまま片っ端から録画しました。
そして全部観ました。
その時、先ほど記したような、映画館で観ている状況に近くして観たのです。
私の脳内設定は、ふらりと立ち寄った映画館で、その時やっている映画を観る、
つまらなくても最後までつきあってみる、というものでした。
観たあとに調べてみて、よく知らない国や人の作品で、特に有名な賞をとっていなくても、面白く、素晴らしい映画があることを知りました。
そして自分が面白いと思った理由を最低でも一つは考えるようにしました。
そういえば名前くらいは聞いたことのある作品で、けっこう有名な監督が撮っている、でもつまらなかったというのもありました。
最低でも一つ、そう思った理由を考えました。
途中で止めない、早送りと巻き戻しもダメと縛らなくても、こういう事は学べそうですね。
でも地方から上京してきた私が、
東京の数え切れないほどの映画館と、
この深夜映画無差別鑑賞から学んだ最も重要なことは、
映画とは観客を拘束するものである、
真っ暗になる劇場の客席に人を縛りつけて見せるものである、
それを前提に作られているからこそ、映画には独特の時間の流れがある、
という事でした。
お茶の間で家事や食事の合間にも楽しめるように作られているテレビ番組とは違う。
二時間近く縛りつけられたうえで、やっと言いたい事がわかるような作品もあるのが映画で、
映画だからこそ出来る表現がある。
映画の話法、文法といったものでしょうか。
家にいてもわざわざ自分を縛って観たたくさんの映画が教えてくれました。
もう同じことは繰り返せないですね。
今回もお酒をこぼしてしまったくらいだから。
映画とテレビと、あとはネット配信のドラマとかYouTubeの映像とか、
同じ映像でもなにが違うのだろうと思っている方、
体力と集中力に自信のある方、
この時期に自宅を劇場だと思って、
モニターをスクリーンだと思い込んで!
トライしてみてはいかがでしょうか。
<おわり>