モーション・ピクチャー・シューティング

MOTION PICTURE SHOOTING 自主映画制作記

映画を家で観るということ

お題「#おうち時間

 

仮設の映画館にて映画『精神0』を観るにあたり、

できるだけ映画館で観るときと同じ状態に近づけようと考えました。

観はじめたら、止めない。一気に最後まで観る。

早送り、巻戻し厳禁。

トイレの用は大丈夫。

宅急便、頼んでいない。

突然のピンポーンには…… 居留守対応の方向で。

そうして臨みました。

部屋の明かりも消した。

再生ボタン、クリック。

おお、

映画館の上映前のような案内が流れます。素晴らしい!

大丈夫です、スマホ、OFFにしてます。

(鑑賞開始)

ところがミスをしました。

アルコールを片手に観ていたのです。

これは映画館のマナーやルールに反するものではありませんが、

私は普段飲まないのです、映画館では。

うっかりお酒の缶を倒してしまったのです。

一時停止……!

約1分後に鑑賞を再開しました。

自宅で観るという気安さからの油断、

不覚であります。

 

二十代の頃、

国も時代もジャンルも問わずに

少しでも多くの映画に触れ、学びたいと思いました。

でもお金はありませんでした。

私はテレビの深夜帯で、夜9時からの洋画劇場では流れないようなマニアックだったり、マイナーだったり、アート系だったりする映画が放映されているのを知りました。

そこで放送時間が被らない限り、各局の深夜の映画をぜんぶビデオに録画しました。

多い時には一晩三作品くらいありました。

当時、新聞のテレビ欄では深夜番組の記載は一行あるかないかでした。

聞いたことのないタイトルでも映画とわかれば録画しました。

どこの国でいつ撮られ、誰が主演で誰が監督か知らず、あらすじもわからないまま片っ端から録画しました。

そして全部観ました。

その時、先ほど記したような、映画館で観ている状況に近くして観たのです。

私の脳内設定は、ふらりと立ち寄った映画館で、その時やっている映画を観る、

つまらなくても最後までつきあってみる、というものでした。

観たあとに調べてみて、よく知らない国や人の作品で、特に有名な賞をとっていなくても、面白く、素晴らしい映画があることを知りました。

そして自分が面白いと思った理由を最低でも一つは考えるようにしました。

そういえば名前くらいは聞いたことのある作品で、けっこう有名な監督が撮っている、でもつまらなかったというのもありました。

最低でも一つ、そう思った理由を考えました。

 

途中で止めない、早送りと巻き戻しもダメと縛らなくても、こういう事は学べそうですね。

 

でも地方から上京してきた私が、

東京の数え切れないほどの映画館と、

この深夜映画無差別鑑賞から学んだ最も重要なことは、

映画とは観客を拘束するものである、

真っ暗になる劇場の客席に人を縛りつけて見せるものである、

それを前提に作られているからこそ、映画には独特の時間の流れがある、

という事でした。

お茶の間で家事や食事の合間にも楽しめるように作られているテレビ番組とは違う。

二時間近く縛りつけられたうえで、やっと言いたい事がわかるような作品もあるのが映画で、

映画だからこそ出来る表現がある。

 

映画の話法、文法といったものでしょうか。

家にいてもわざわざ自分を縛って観たたくさんの映画が教えてくれました。

もう同じことは繰り返せないですね。

今回もお酒をこぼしてしまったくらいだから。

 

映画とテレビと、あとはネット配信のドラマとかYouTubeの映像とか、

同じ映像でもなにが違うのだろうと思っている方、

体力と集中力に自信のある方、

この時期に自宅を劇場だと思って、

モニターをスクリーンだと思い込んで!

トライしてみてはいかがでしょうか。

 

<おわり>