モーション・ピクチャー・シューティング

MOTION PICTURE SHOOTING 自主映画制作記

カメラを止めるな……

リモート大作戦!      

お題「#おうち時間


短編映画『カメラを止めるな!リモート大作戦!』本編

 

観ました。

おもしろかったです。

シナリオ上では一つの場所だが、複数の場所で違う時間に撮影したものを組み合わせて、いかにも一ヶ所で同じ時間に撮ったように見せてしまう……

自主映画あるあるですね。私もよくやります。

プロだってよくやってます。

共演する俳優たちのスケジュールがどうしても合わない時など、顔のアップをつないだりして、同じところにいるように見せるのですね。

映画『ヒート』1995 を思い出しました。

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アル・パチーノロバート・デ・ニーロが初めてガッツリと共演した作品として、公開時は映画ファンの話題沸騰。しかも刑事と犯罪者として戦うという内容なのですから、期待するなと言われても絶対無理でした。ところが、カフェのテーブルを挟んで初めて会話をするシーンが、それぞれのショットを切り返しでつないであり、二人同時に映るショットがほとんどない。多くの観客がアメリカを代表する二大実力派俳優は、実際にはほぼ絡まなかったのではないかと疑いました。やはり竜虎相搏つというわけにはいかなかったのかと。これは特に映画ファンが、撮影現場のテクニック、会話のシーンでも二人が演技をぶつけあっているとは限らないことを知っていたから生まれた疑いでした。後に誤解だと判明して胸をなでおろした方は多いでしょう。

さて、今回の映画『カメラを止めるな!』、緊急事態宣言下での番外編ですが、まさにこの映画の現場のテクニックから生まれた作品ですね。

実際に会えない、絡めないけれど、そうは見えない映像にしてしまおうというアイデア

まあ、ロケ地が違いすぎて、誰が観ても同じ場所とは思わない映像になるのですが、画面のつなぎ方がうまいので、観ているうちにほとんど気にならなくなりました。あえて言葉にするなら、画面の背景がおかしくても、物語の流れで押し切っている感じです。

関係のない二つ以上の映像を組み合わせることで一つの意味を提示するモンタージュの理論を思い出しました。

そういえばモンタージュ理論で有名なエイゼンシュテイン監督は、俳優ではない素人を映画に起用していました。

立っているだけの男(素人)を下から見上げるようにして撮れば、自信に満ち溢れているように見える(見せれる)。上から見下ろすようにして撮れば、男の気持ちが沈んでいるように見える(見せれる)……だったかな。うろ覚えですが、そういう発見をされた映画監督でした。

今作にも素人の皆さんが大量に出演しています。

自分で自分を撮る、自撮りでですが。

自分を撮るという事、カメラの前で人に見せる動きをする事に慣れた人たちがたくさんいて、成立しています。

そしてあるテーマに沿って自撮りをうまく繋げてあるのです。

あと、

エンドクレジットを見ていたらジョン・フランケンハイマー監督の『グラン・プリ』1966 のことも思い出しました。あの怒涛のような分割画面です(笑)

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上田慎一郎監督と『カメラを止めるな!』チームの皆さん、楽しい時間をありがとう。

カメラは止めない。有言実行ですね。