モーション・ピクチャー・シューティング

MOTION PICTURE SHOOTING 自主映画制作記

鉄の斧

 

前回からの続きです。

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映画『金の銃 銀の銃』 ↑ ワルの木こりに奪われる!


 

真面目な木こりの鉄の斧、S&W M10 ミリタリー&ポリスのプロップは、マルシン工業製の古いガスガンを利用しました。

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BEFORE

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AFTER

ちょっと光の加減が違うのですが、

上の素の状態では黒いプラスチック製であることがわかりますが、

下のプロップ状態では青黒い鋼鉄製に……見えませんか?!

これは作業時間30分くらいで、表面を仕上げ直しただけです。

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マッキー&プロッキー

二本のマーカーで塗っただけです。

まず油性の青で塗り、

その上から水性の黒で塗る。

以上!でした。

油性のインクのヌメッ、ギラッとした感じが肝です。

鋼鉄に油が引いてある感じですね。

油性の青にさらに油性の黒を重ねても良いのですが……

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油性×油性

上の銃、

今年撮影した『2M』のプロップガン(こちらもS&W)ですが、ちょっと紫っぽくなっています。写真では伝わりづらいですが。

ここらへんの色味は、地のプラスチックの色、インクの色などの組み合わせで変わってくると思います。

あと、よく見るとわかりますが、塗る時は太い芯でサッサとやらないと、塗り跡が残ります。そして4K撮影だとバレますね。

最初はあまりに汚くなったので、マニキュア落とし、エナメルリムーバーで拭いてやり直しました。リボルバーの方のグリップにご注目ください。茶色のプラスチックですが、一度紙ヤスリをかけ、黒いマーカーで塗りたくり、エナメルリムーバーで落としています。ヤスリの細かいキズにだけ黒インクを残し、木目っぽくしてあります。

 

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この写真は

『射手座』2017 の時のスチールです(本編ではこんなシーンはないのですが 射手座 | シン・シネマ)。

エアガンのグロック17がプロップで、確か油性の青と油性の黒でスライド(銃の上半分)を塗った記憶があります。いい具合に街灯の光を反射しています。

ご存知、グロックは下半分が鉄じゃない、プラスチックのピストルとして有名です。いまでは鉄の地肌がほとんどない鉄砲も珍しくなくなりました。プラスチック製のオモチャのままでもリアルかもしれません。それでもこうやって一工夫すると、より本物っぽく見せることができるのではないでしょうか。

マーカー一本100円×2、お茶するくらいの時間でプロップガンを、ちょっとグレードアップです。

私がなんでこんな方法を試しているのかといえば、

それは小道具専門のスタッフがいるわけでなく、

かといって小道具を安易に使いたいわけでもなく、

ただ、撮影前の準備を進めると、どうしても小道具が後回しになってしまう……という状況ばっかりだったからです。

『金の銃 銀の銃』の時も『2M』の時もクランクイン前日にマジックで塗っていました。

私の制作体制を見直すべきかとも思いますが、この突貫小道具メークアップ方法がどなたかの、小規模の制作現場に携わる方のお役に立つかもと考えました。

もう少し、続けます。