モーション・ピクチャー・シューティング

MOTION PICTURE SHOOTING 自主映画制作記

A BETTER TOMORROW

現在・・・・
撮影済みの8㎜フィルムは、
国内唯一となった現像設備を持つ【レトロ通販】さんに持ち込んでおります。
東京スカイツリーのお膝元にあります。

昨年末はフジの高感度フィルム
RT200N 』(使用期限2011年 )のストック最後の一本を回しきり、アガリを確認しておりました。

旧年中の撮影は
“凡打”の嵐、出塁不可のファウル続出な感じでした。
クランクインした2013年の打率の良さとは天と地の差。

一昨年にホームラン級ショットを出しすぎた反動のようでした。
年を越すことになった課題が山積み状態に。

凹みながら、大晦日には
【歌舞伎町映画街 最後の砦 新宿ミラノ
の閉館を見届けてきました。
上京以来、23年間もお世話になった劇場。
ラストショーとして歴代ヒット作品の特集上映が行われましたが、

その一本に『男たちの挽歌』1986 がありました。

御存知、“香港ノワール”のパイオニアにしてエバーグリーン。
オートマチック二挺拳銃アクションの元祖。

何度も観てきた作品ですが、
ミラノ座の巨大スクリーンで鑑賞した今回が、一番感動しました。
年末年始はそのまま“挽歌大会”となり、手持ちのDVDソフトでシリーズを観直すことに。
感謝感激雨あられの元の言葉は、
乱射乱撃雨あられなんだとか。
この二つの熟語が両方当てはまる作品であります。

 

四半世紀前、

「海外の評価が高い日本映画は時代劇ばかりではないか。

日本のアクションってチャンバラじゃなきゃダメなのだろうか」と

マジメに...

マジで大真面目に悩んでいた田舎の学生の前に現れたのが

ジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー 香港国際警察』 1985 でした。

リアルに活躍する警察をモデルにした、モダン・アクション映画。

感動しました。

「香港映画は、拳法使いの活躍する時代劇だけじゃないぞ。

クルマを走らせ、ビルのなかを駆け回る現代のアクションだってやれるんだ」

そんな、香港映画人の叫びが聞こえた気がしたのです。

 

そして

男たちの挽歌』。

私だって疑っていたのです。

東洋人がバリバリ銃撃戦をやるなんて・・・ダサくなってるんじゃないだろうか・・・・と、

最初は。

 

映画ファンの方は御承知の通り、

二挺拳銃は映画王国アメリカの時代劇、ウエスタンの十八番であります。

80年代、下火となっていた本場の西部劇。

鮮やかに、本当に鮮烈に、

現代に二挺拳銃を復活させたのは黄色人種の国の映画でありました。

以後、ハリウッドどころか世界中の映画のアクションのスタンダードとなる

【香港流二挺拳銃乱れ撃ち】。

 

肌の色が同じというだけで一緒だと考えるのも安易かと思われますが

「西洋の十八番であるドンパチを自分と同じ東洋人が変えてしまったのだ」

という衝撃。

 

「東洋人は着物姿で拳や刃物を振り回してるほうが無難」という

“空気”への全力での抵抗に見えたのは、私だけではなかった筈です。

 

後に【亜州影帝】、アジアの映画の王様と呼ばれる

チョウ・ユンファがロング・コートの裾をたなびかせ、

両手のベレッタ92F15連発とFNハイパワー13連発が並んで火を吹いた時、

アクション映画の・・・いや、映画の歴史に確かに新しい一頁が加えられたのでした。



「わたしたちは

着物を着ずに洋服を着ているではないか。

チョンマゲを結ってはいないではないか。

クルマに乗り、ビルで暮らすではないか。

戦争は飛び道具でやるではないか。

わたしたちは

現代を生きているではないか」

 

アクション映画は荒唐無稽です。

でもその世界は私たち観客の生きる現実の延長にあって初めて成立し、

そのリアルの力に支えられてこそ、地球の裏側、文化の違う場所の観客にも受け入れられるのだと

考えます。


男たちの挽歌』という邦題は秀逸です。

原題は『英雄本色』(本当の英雄という意味だったかな)、こちらも良い。

そして、当時はイギリス領だった国のこの作品には英題もついています。

 

A BETTER TOMORROW

 

死地に向かう男たちの物語に、なぜこの英題なのか、

理解するのに時間がかかった。

 

より良い明日。

 

その為に今日を闘わん。



皆さん明けましてオメデトウ!