映画『精神0』@ 仮設の映画館
仮設の映画館 !
http://www.temporary-cinema.jp
「なんて画期的なアイデアなんだ」と叫びたくなりました。
映画を配信で公開するが、それは映画館で上映された扱いになる。
観客はまず観たい作品を選ぶ。そして行きたい映画館を選び、その映画館で上映されるという前提で料金を払い、オンラインで作品を鑑賞する。
今は行くことができない、自分の好きな映画館で、観たことにする。
現実には休館していて、観客0で、スクリーンには何も映し出されなかったのに、その映画館で観たことになる。
映画館で観たことにできる!
公開が危ぶまれた映画と、休館した映画館を同時に応援することができ、映画の製作、配給側と映画館の双方に利益をもたらす。
なにより観客が今、新作を観ることができる。
オンライン上の仮設であるけれども、確かに映画館を通じて観ることができる。
脱帽です!
(いま読んでいるカミュの『ペスト』に「脱帽!」というセリフが何度も出てくる影響です)
動画配信サイトと視聴システムの普及により、オンラインで初めて公開される映像作品の出現に誰も驚くことはない世の中となりました。
某大手配信業者が製作した映像作品が、映画館を通じて公開されなくても映画と呼びうるものであるか否か、議論は続いています。
私は映画は映画館で公開されるべきものであり、映画とは映画館のスクリーン上でフルパワーを発揮できる映像作品のことを指すと考えています。
ただ、以前ビデオスルーで公開された多くの作品、日本で劇場公開作品の扱いを受けれず、ソフトのレンタルなどでその存在を世に知らしめた多くの映画があることも知っています。
インターネットを介して初公開される映画も増えてしまうだろうと考えていました。
そんな
劇場、映画館であるべきだ!
いやネット配信でも……。
それは映画と呼べるのか?
映画と呼んでもいいんじゃないか……。
というような議論を吹き飛ばしてしまったいまの状況。
映画と映画館、その存在をかけた大問題を逆手にとった仮設の映画館!
想田和弘監督の「座して死を待つよりは……」という苦渋の決断に、
私は逆境でこそ輝きを増す映画の未来を提示してもらえたと考えます。
さて、
5月2日、オンラインで封切られた想田和弘監督作、映画『精神0』、
早速鑑賞してみました。
<つづく>