モーション・ピクチャー・シューティング

MOTION PICTURE SHOOTING 自主映画制作記

音より速い画

ポスト・プロダクションの準備を兼ねて、

当ブログにも〔音楽〕というテーマを追加することになりました。


私が音楽を意識的に聞くようになったのは映画からでした。

最初に覚えた作曲家の名はエンニオ・モリコーネ でした。


映画音楽から始まり、

なぜか次はユーロビート

十代後半からロック、ヘビーメタルを聞き始めました。

同年代の人とは部分的にしか噛み合わない音楽の嗜好でしたね。

ちなみに所蔵するCD、歌モノの99パーセントが日本語の詩ではない、

洋楽であります。


日本語の唄も好きなんですよ。

シングルCDを数えられるくらいしか持っていませんが。


CD買おう!となると、洋楽とインストが優先され、懐事情により邦楽は手に入らないという

状況を繰り返しているのです。


さて、

ここ数年・・・

三十代後半からはクラシックばかり聞いております。

自分が教育テレビのコンサート中継を見るようになるとは思ってもいませんでした。

知識などは全然蓄えてないのですが。

やはり映画とその音楽の使い方を強く意識してからのことですね。


フラリと最寄りの図書館に寄った時、

映画関連書籍の棚の前でなにげなく手に取った一冊、


『映画でクラッシック!』

    西村雄一郎 著   

       新潮社 刊

          2007


パラパラとめくってみました。

ミュージックの語源、ムーサ(ミューズ)、

その母は記憶の女神ムネモシュネであることが解説された後、

本編は映画『地獄の黙示録』と『ワルキューレの騎行』の記事から始まるのでした。


本屋でも冷やかしの多い私、

久しぶりに本を握りしめました。

寄り道せずに貸出カウンターに向かいましたね。


すっかり、忘れていたのです。

私にとっての映画の音楽の記念碑、

初めて曲名を覚えたクラシック音楽は映画の中で使われていたものであることを。


子供の頃、タイトルのゴツさにひかれて、テレビ放映で観たその映画。

ワケはわかんない内容だった。

ベトナム戦争のことは知らなかった。

ただ、中盤の空襲のシーンの虜になった。

以来、サルのように観た。

テレビで流れる度に観た。

そして聴いた。

ヘリのローターの唸り、

機銃の咆哮、

ナパーム弾の炸裂、

ワーグナーという人が作った曲を。

カセットテープに録音して、

サルのように

聴いた。


地獄の黙示録』という映画がなにを描いていたのか、

ワルキューレの騎行』という曲がなぜ流されたのかを解るようになったのは上京後。

文芸坐などで有難くスクリーンで鑑賞してからですね。


映像と音楽のコンビネーションの力がどれだけスゴイのか、

サルでもわかる!(?)であろう

地獄の黙示録』の空襲シーン。


ほんと忘れておりました。

『映画でクラシック!』を手にとるまでは。

自分が実はクラシック音楽からかなりの影響を受けていたことを。


芸術と学問の女神ミューズの母、

ムネモシュネが記憶を呼び覚ましてくれたのか。


ああ、また見える。

ヘリの中でレコードに針が落とされるのが。

ああ、聞こえる!

ロバート・デュバル扮するキルゴアが叫ぶのが。



♪ガンガン鳴らせ!



『映画でクラシック!』より

一部引用させていただきます。


・・・音と映像の情報量は半々ではないからだ。映像が七十パーセント、音が三十パーセントぐらいと考えておいた方が無難だろう。だからお互いが均衡するには、音楽をくどいくらいに演奏したほうがバランスがちょうどよくなるのだ。

 もう少し専門的な話をすれば、発砲する銃口を写した映像に、“バァーン!”という銃声をシンクロさせるとする。その際、火を吹いたコマに、サウンドを合わせると、どうもしっくり来ない。音を映像より三、四コマ(一コマは二十四分の一秒)先行させた方が、ピッタリとはまることをご存知だろうか。情報は眼から入ってくる方が先で、音を脳が認知するまでに、何分の一秒かのタイムラグが生じるからだといわれている。

このように、視覚は聴覚に先行し、音楽は映像に引きずられる。   (191ページより)


勉強不足な私は初めて知りました!


当映画は映像と音楽のシンクロを目指し、

銃口の画には銃声が鳴ります。

応用させていただきます。